11:夜は勝手に明けてくる

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 伴の細い体がゴボウのように飛んでくるのを正面から受け止め、背中から地に転がった。うっ、と息を詰めた伴が指に力を込めてすがりつく。Tシャツの隙間から彼のネックレスの鎖がこぼれて顔にかかった。 「ん?」  銀の十字架が、目の前でぶらぶら揺れていた。 「どあああああああああ!!」 「うおおおおおおおおお!?」  俺の悲鳴につられて伴も意味なく声を上げた。力任せに突き飛ばすと、伴は軽々と地面に転がった。すぐに起き上がり、髪を振り乱して喚いた。 「なにしやがんだよ~~ビックリさせんなポンコツ吸血鬼!!」 「馬鹿野郎十字架なんてぶら下げて俺に近づくな!! しかも臭い!! ここへ来る前になに食ってきたか言え!!」 「焼肉屋でみゆきとにんにくのホイル焼きを少々」  ハッとわざとらしく息を吐いてみせる。俺は軽く目眩を覚えた。にんにく。この世で一番嫌いな食べ物だ。 「佐藤さん、大丈夫ですか?」  興梠がカサカサと近づいてくる。 「ああもうイヤ……ほんとイヤ。俺この人無理……嫌いだ」  飛来したガレキや木片のほとんどは、興梠が糸で絡めとって防いでくれていた。まっ黒焦げになった倉庫があったらしきところに、四肢を広げた竜が尾を揺らして構えている。  とはいえ、障害物はなくなった。俺たちも十分に戦える。 「俺たちが手足を押さえる」  五十鈴が買って出た。勝負は早いほうがいい。
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