危機

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「シン様、せっかくですので見せていただきましょう。お供いたします」 「ありがとうございます」 シオンさんも一緒に行ってくれるなら安心だ。 僕達はゼノさんについて地下のゼノさんの部屋に向かった。 地下に続く長い階段を降りたその部屋は、薄暗い中に不思議な道具が沢山置いてあってあまり居心地は良くなかった。 ハルさんの部屋とはだいぶ違う。 魔術師といっても皆同じではないのだなと思った。 ゼノさんは僕とシオンさんをソファに座らせると、すぐにお茶とお茶菓子を持ってきてくれた。 「北の国より珍しいお茶が手に入りましてな。さ、お召し上がりください」 カップからはいい匂いがするけれど、飲んでも大丈夫なのだろうかと躊躇ってしまう。 そんな僕の様子に気付いたのか、ゼノさんはカップのお茶を自分で一口飲んでみせた。 「王妃様は用心深くていらっしゃる。ほら、私が飲んでも何ともありませんよ。毒など入ってはおりません」 「すみません。そんなつもりではなかったのですが……」 そこまでされて要りませんではあまりにも失礼だろう。 隣でシオンさんもお茶を飲んでいる。 妊娠して自分の警戒心が強くなってるのかな。皆が飲んで大丈夫なんだから平気に違いない。 僕は出されたお茶に口をつけた。 不思議な風味のお茶だった。 何だろうこの味は。 一口飲んだだけでそれ以上飲む気にはなれない。
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