扉の向こうは

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もう限界。 こんなたくさん人がいる前で漏らしたらどうしてくれるんだ。 「申し訳ありません。今すぐにお連れ致します」 レンさんは王子様のような優雅な微笑みを浮かべると僕を抱いたまま歩き出した。 「あ、歩けますから!降ろしてください」 「ヤマグチシンタロウ様を穢れた地上に降ろす訳には参りません。私が責任を持ってお連れいたします」 穢れた地上って……何言ってるのこの人。 そういう台詞なのかな。 カメラはどこで回ってるんだろうか。 「ヤマグチシンタロウ様、こちらで用を足してください」 レンさんに連れてこられたトイレは……トイレというより普通に部屋だった。 広い室内の中央にキラキラ輝く便器が置いてある。 本当にここでしてもいいんだろうか。 若干の不安はあったが背に腹はかえられず、僕はキラキラ便器で用を足した。 トイレと言えば狭いのが当たり前なので、こんな広々空間でするのは落ち着かない。 トイレ借りたし、何とかして帰らないと。 「ヤマグチシンタロウ様、お済みになりましたか?」 ガチャリとドアが開いてレンさんが顔を出した。 ノックもなしにいきなり入ってきたよね? お済みでなかったら丸見えじゃないか。
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