扉の向こうは

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「ヤマグチシンタロウ様、そのお姿も大変にお美しいのですが皆が落ち着かなくなりますので、お召し物を着ていただけますか」 「………名前、長いのでシンでいいです」 パンツ一丁では寒かったし恥ずかしかったのでレンさんに渡された衣服を身につける。 ヒラヒラのワンピースみたいな衣服はスースーして落ち着かない。 何なのこの衣装。 僕にこんな格好させて誰が楽しいんだ。 「ああ美しい……。貴方の漆黒の髪と瞳によく似合います」 さっきからやたら美しいって言うんだけど、この人目が悪いのかな。 漆黒のって、日本人ならみんな当たり前じゃないか。 この人は外国の人だから珍しく思うのかな…。でも日本語上手だな。 「日本語お上手ですね」 「ニホンゴ?とは何でしょう?」 ふざけてるのかな。 トイレも済ませたことだしそろそろアパートに帰りたい。 酔いはだいぶ醒めてきたけどとにかく眠くなってきちゃったよ……。 「レンさん、もう眠いのでそろそろ帰りたいのですけど…」 「ああ、気付かずに申し訳ありません。寝所を用意させましたのでそちらにご案内します」 ひょいとまた僕を抱き上げる。 「あのっ…本当に歩けますから…」 「どうか私にシン様を寝所まで運ぶことをお許しください。誰にも貴方を触れさせたくない」 もう……この人何なの。 こんなかっこいい人にこんなこと言われたら…僕が女だったら確実に惚れてしまうかも。
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