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疑惑
一週間ほど休んだら僕の体調もすっかり良くなって、部屋の中は自由に歩き回れるようになった。
ただ、レンさんが僕を部屋の外に出したがらないので正直すごく暇だ。
暇すぎてよくない考えがぐるぐる頭を回る。
僕が間違った花嫁だから、この国は救われないのではないか…とか。
跡継ぎを残せるちゃんとした花嫁にこの座をお返ししないといけないのではないか…とか。
どうやってお返ししたらいいのか分からないのだけれど……。
最初に僕が出てきたあの祭壇に行ってみれば何か分かるだろうか。
もし……帰れるとなったら…。
親が居る訳でもない。
僕は孤児だった。
頑張って働いて大学に通ってたけど……本当に帰りたいのだろうか。
ここに居てレンさんと一緒に生きていきたいと思い始めていた……。
「シン様、今日はお天気がいいですよ。お散歩に参りませんか?」
「シオンさん、一緒に行ってくれるのですか?」
シオンさんはにっこり笑って頷いてくれた。
「王様からシン様の気分転換をお願いされておりますので。城の敷地内になりますか行きたいところは御座いますか?」
「アリス……アリスのところに行きたいです」
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