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エリンさんは部屋の隅に置いておる箱から長い金属製の棒のようなものを取り出した。
ん?
検査器具って言った?
あれを使うってこと?
どうやって…………。
想像したところで全身の血液がさあっと引いていくような恐怖を覚える。
まさかあれを僕に突っ込むと言うのか?!
「待って……ちょっと待って!!」
「さあ王妃様。力を抜いて楽になさってくださいね~」
にこにこ笑いながら凶器を手に持つエリンさんが迫ってくる。
あんなの入れられたら死ぬ。
絶対死ぬ!!
「では、診察しまーす」
「ぎゃああああっ!!」
悪夢のような診察を終えた僕は満身創痍で起き上がることも出来なかった。
診察中エリンさんが『まあ!こんな風になってるんですね』とか『素晴らしい…』などと言っていたけどそれどころじゃなかった。
もし戦争とかあって拷問するなら迷わずこれをお勧めする。
痛みと敗北感と羞恥心と…ありとあらゆるダメージをこんなに負わせるものはそうはないと思う。
「シン……苦しそうな声が聞こえていましたが大丈夫でしたか?」
「ダメです……もう立ち直れません」
本当に色々立ち直れないよ。
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