3475人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
『あの悪魔の子を身篭ってしまった。
これであの子の元へ帰るのが難しくなった。
王は私が身篭って満足そうだ。
これは、きっと神からの罰だ。
私が天界を逃げ出して彼の世界で恋に落ちたから。
彼との間に子を成したから。
罰を与えるためにこの世界に私を飛ばしたのだ』
王妃様の日記はだんだん字が乱れていく。
望まぬ子供を妊娠させられて、どんどん神経が弱っていくのが日記から読み取れた。
『あの子に会いたい。
彼にそっくりな瞳で微笑んで欲しい』
『あの子は幸せになれるだろうか。
神に見つかればあの子も無理矢理花嫁にされるのではないだろうか』
『あの子は運を掴む子だ。
掌に並ぶ三つの黒子は運と幸せを掴むのだよと彼が言っていた。
きっとあの子は大丈夫。
花嫁にされたりしない…』
掌の黒子か……。
僕にもあるな。
運と幸せを掴むんだこれ。
僕の掌にも黒子が三つある。
妙な親近感を覚えて僕は日記を読み進めた。
そこからは側室に虐められたり大臣に犯されそうになったりと、王妃様がどんどん追い詰められていく様子が書かれていた。
これは僕が読んでもよかったのだろうか。
彼の過酷な運命に胸が痛む。
最初のコメントを投稿しよう!