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王妃様の日記
『ここに来て二日経った。
残してきたあの子は無事だろうか。
何とかしてあの世界に帰れないものか』
これは日記だ。
几帳面な綺麗な字でノートに書き付けてある。
『私を召喚した王は子を成すため毎晩私を抱く。
どんなに抱かれても心を許すことはできない』
この人、花嫁にされるために無理矢理ここに召喚されたんだな。
王様のことも好きにはなれないみたいだ。
『今日は城に子供達が見学に来ていた。
私の息子は元気にしているだろうか。
母が居なくて泣いていないだろうか。
何とかして帰りたい。
帰ってあの子を抱きしめたい』
『あの子の笑顔を思い出すと涙が止まらない。
ここであの王のいいように体を弄ばれている場合ではない。
父親も死んであの子には私しか居ないのだ。
あの世界に帰る方法を探さないと』
なんか、切なくなってきた。
息子さんも居るのに無理矢理連れてこられて必死で帰りたがってる。
でも確かさっき、先々代の王妃様は産み月の前に亡くなったと言っていたけど……。
『昨夜、王は執拗に私を責めた。
心を許せと何度も私を打った。
何をされても私が愛するのは彼だけだ。
彼が亡くなった今、息子だけを愛している。
早く息子に会いに帰りたい』
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