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「これは……」
「そう、蛇! 蛇のぬいぐるみのマフラーなんだ! どう思う?」
千歳は、切れ長の目を見開いて、食い入るように僕を見つめた。
「趣味が悪い。捨てれば?」
僕はうすく笑って答えた。
「そんなあ。せっかくもらったのに。どうしよう」
僕は知っている。
千歳は、蛇がキライなのだ。
芽衣子も、そのことを知っていて、わざとこれをプレゼントしている。
僕はコタツの上の籠から、ミカンを一つ手に取った。
皮をむいて、一房、口の中に放りこむ。
ミカンは甘酸っぱくて、どこか懐かしい味がする。
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