ヘビギライ

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「うわあ。蛇! ほんとに蛇がいたよ!」 芽衣子は、なぜか嬉しそうに僕たちを振り返った。 そして――あの子は馬鹿だから、目をらんらんと輝かせて 「つかまえられるかなあ!」 と言ったのだ。 女の芽衣子がそう言うのに、男の、しかも年上の僕が、「やめよう」とは言いにくかった。 「そうだね。蛇をつかまえて、虫取り籠の中に入れようか」 そんなふうに同意した。 「ちい坊は危ないから、下がってな」 ほんとに馬鹿なのは、芽衣子じゃなくて、僕のほうだ。 芽衣子と千歳に、「すごいね」と言われたかった。
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