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痛みと噛まれたショックで、僕は泣きだしそうだった。
だけど二人の前で情けない姿は見せられない。
ぐっと涙をおさえて立ち上がると
「たいしたことないよ」
と笑って見せた。
「ゴメン、ゴメンね」
芽衣子がグズグズ泣きだした。
足をひきずって、帰り道を急ぐ。
クラクラ、頭が痛くなってくる。
太陽が雲に隠れて、蝉の声が遠くに響く。
帰ったら、すぐに病院に連れて行かれた。
僕を噛んだのは、ヤマカガシという毒蛇だと言う。
――毒蛇――、その言葉の響きに、改めてゾクリとする。
あの時僕をとらえた、蛇の目のおそろしさ。
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