ヘビギライ

4/7
前へ
/11ページ
次へ
痛みと噛まれたショックで、僕は泣きだしそうだった。 だけど二人の前で情けない姿は見せられない。 ぐっと涙をおさえて立ち上がると 「たいしたことないよ」 と笑って見せた。 「ゴメン、ゴメンね」 芽衣子がグズグズ泣きだした。 足をひきずって、帰り道を急ぐ。 クラクラ、頭が痛くなってくる。 太陽が雲に隠れて、蝉の声が遠くに響く。 帰ったら、すぐに病院に連れて行かれた。 僕を噛んだのは、ヤマカガシという毒蛇だと言う。 ――毒蛇――、その言葉の響きに、改めてゾクリとする。 あの時僕をとらえた、蛇の目のおそろしさ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加