ヘビギライ

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「兄ちゃん、兄ちゃん、死んじゃうの?」 ちびの千歳が、涙をボタボタ流して、僕のベットに突っ伏した。 「死なない……と思う」 僕は手をのばして、弟の柔らかな髪を撫でた。 ……噛まれたのが、千歳や芽衣子じゃなくてよかった。 僕はふたりを守ったんだ。 すっかりヒーローになった気分で、くだらない自己満足に酔いしれた。 「兄ちゃん……ゆいごん、ある?」 千歳が鼻をすすりながら尋ねた。 遺言、なんて言葉、幼稚園児がどこで覚えたんだろう。
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