マフラー

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マフラー

「兄ちゃん、俺、悩んでるんだ」 弟の千歳が、真面目な顔で僕に言った。 「何? どうしたの?」 尋ねると、 「見てよ。これ、芽衣子にもらったんだけど」 千歳は、カバンの中から、ラッピングバックを取り出した。 ラッピングは、一度開封されているのが分かる。 袋がよれているし、シールをはずしたあとがある。 「中、見てみて」 千歳が、顎をしゃくって促した。 開けてみると、マフラーが出てきた。 なんだか、変なマフラーだ。 えんじと白の縞々。 伸ばしてみると、先のほうに、黒いボタンが二つ付いている。
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