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午後十九時。外回りから帰ってきた坂下は、デスクにいた吉田の元にそのまま向かい、すぐに昼間の話をした。
すると、吉田の表情は明らかに変わった。
「お前、それ誰かに言ったか?」
「いえ、まだですけど」
「だったら、明日裏どりだな。報告は確信を得てからだ」
「わかりました」
早速、捜査にとりかかる。しかし、これはあくまでも、まだ犯人だと決まったわけではない。そう自分に言い聞かせた。
「しかし、あれだな」
吉田は不適な笑みを浮かべながら坂下を見上げていた。
「なんですか?」
「お前、女と別れたら頭が冴えてきたんじゃないか?」
坂下は、苛立ちを露わにした。
「意味がわからないですね」
こんな冗談に、先輩も後輩も関係ない。しかし、吉田の返答は早かった。
「余計なことを考えなくて済むって話だよ。やっぱ変わってないか?」
「うるさいですよ」
そう言い放ち、吉田から離れた。
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