二〇一九年一月二十三日

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 午後十九時。外回りから帰ってきた坂下は、デスクにいた吉田の元にそのまま向かい、すぐに昼間の話をした。  すると、吉田の表情は明らかに変わった。 「お前、それ誰かに言ったか?」 「いえ、まだですけど」 「だったら、明日裏どりだな。報告は確信を得てからだ」 「わかりました」  早速、捜査にとりかかる。しかし、これはあくまでも、まだ犯人だと決まったわけではない。そう自分に言い聞かせた。 「しかし、あれだな」  吉田は不適な笑みを浮かべながら坂下を見上げていた。 「なんですか?」 「お前、女と別れたら頭が冴えてきたんじゃないか?」  坂下は、苛立ちを露わにした。 「意味がわからないですね」  こんな冗談に、先輩も後輩も関係ない。しかし、吉田の返答は早かった。 「余計なことを考えなくて済むって話だよ。やっぱ変わってないか?」 「うるさいですよ」  そう言い放ち、吉田から離れた。
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