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二〇一九年一月二十四日
翌日。坂下と吉田は例のコンビニに向かった。
店に入ると、レジの従業員の元には向かわずに、品出しをする店員に声をかけた。客への妨げを避けるためだ。
「すみません、店長さんいます?」
吉田の問いかけに、怪訝な目をするその女性店員は、「いますけど」と、無愛想に答えた。
そんな彼女に、チラリと警察手帳を見せると、表情は一変した。
「少々お待ち下さい」
明らかな作り笑顔の見せて、彼女は奥へと入っていく。
すぐに、奥から別の女性が出てきた。
「何か、御用でしょうか?」
おそらく、四十代後半くらいだろう。もしくは喋り口調がしっかりしているから、そう見えているのかもしれない。その女性は、二人に目を配っていた。
二人は改めて警察手帳を見せ、身分を明かした。
「実は、昨日のお客さんで気になる人物がいましてね、防犯カメラを見せていただきたいんですけど」
こちらの要望に、店長は困惑の表情で頷いた。
「構いませんけど」
彼女はそう答えたものの、どこか府に落ちないように見えた。
そんな相手に、坂下は言った。
「実は、私が昨日ここに訪れた際に、気になる人物を見かけたんです。十三時十二分。カメラを見せていただけたら、すぐに終わりますから」
「そうですか」
おそらく、まだ納得はできていないだろう。それでも店長の女性は、二人を事務所に招いてくれた。
モニターの前に立ち、レコーダーのリモコンを借りて、昨日の時間の少し前から、検索をした。
検索の結果、当然ながらあの男の姿が店内にあった。
坂下はリモコンで操作し、男の顔がさらにはっきりと映る瞬間を追った。そして、飲み物を持ち、弁当のコーナーに歩き出したその時だ。坂下は、一時停止をした。
モニターには鮮明に男の顔がはっきりと映った。
「この男です」
坂下は吉田の耳元で、呟いた。吉田は、小さく頷く。
その時ーー。
「この人、なんかやったんですか?」
振り向くと、店長は、カメラに視線を真っ直ぐぶつけていた。坂下の声が漏れてしまっていたようだ。
店長の目は、見開き驚いているように見える。
「いや、まだ決まった訳ではないので」
すると、以外な答えが返ってきた。
「この人、よく買い物に来られますよ」
「ご存知なんですか?」
「田口さんです。近くのゴルフショップの」
坂下は思わず吉田と目を見合わせた。
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