スイート・ハート

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スイート・ハート

 ごめんなさい。  そう、僕は彼女に告げた。  つんと冷えた風が、ビュッと僕とあなたの間を通り抜ける。  そんな、泣きたくなるほどに寒い冬の日の出来事。  もし。  もし僕が、文字通りあと一押しできていれば、きっと僕とあなたは結ばれたのでしょう。  追憶する、あの夏の日々。  本当に僕は、あなたのお世話になりました。  胸の奥底から、冬の日に似合わぬ熱い何かが込み上げてきて、僕は自然と早口になる。  あなたがいてくれて、僕は幸せだった。救われたことだってあった。  ――でも、その一押しは遠かった。  彼女は "つめた〜い" 目でこちらを見つめていた。  ごめんなさい。  僕は小さく鼻をすすって、そう繰り返す。 「ゴトン。」  僕の前に現れた可愛らしい250㎖のキミは、僕の冷めた心を温めた。
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