彼女のマフラー

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「えっ?」 「マフラーほしいな」  そんなものでいいのか、と拍子抜けしたが、よく考えたら芹那は僕の意気ごみを知らないのだから当然だ。 「そうか。それじゃ、買ってくるよ」  僕がそう言うと芹那は首を振って、 「ううん、祐介の編んだマフラーがほしいの」  僕はその言葉に度肝を抜かれて、一瞬黙りこむ。 「なーんて、冗談、冗談」  芹那はそう言って、いたずらっぽい笑みを浮かべる。 「おどかさないでくれよ……僕が不器用なのは知ってるだろ」 「うふふ、むりよねー。でも私、マフラーって好きなんだ。すごくあったかく感じるよね」 「そうかい。僕は首の周りに物が当たるの、だめなんだ」 「へー、もったいない。あんなにあったかいのに……。とにかく、マフラー買ってきてくれる? かわいいやつね」 「わかったけど、柄のセンスは期待しないでくれよ」  芹那はまた笑った。
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