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「じゃ、また明日な」
そう言って病室を後にする。
「明日もきてくれるの? 無理しなくていいよー」
僕は病室の扉を閉める。芹那の顔が見えなくなる。
それからまた白い廊下を歩いて外へ出る。
雪は止んでいるが、外は肌を刺す程の寒さで身震いする。今夜はさらに冷え込みそうだ。
振り返って病室の窓を見上げ、手を振る。
手を振り返す芹那は、きっと笑っている。黒いダウンジャケットの僕は白い景色でよく目立つ。
帰り道、デパートで毛糸と編み針、それから編み物の入門書を買った。
うまくできないのはわかっている。柄だって、かわいくないと文句を言われるだろう。
でも、それでいい。芹那が少しでも笑ってくれるなら、やる価値はある。
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