手袋とマフラー

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◇  それからしばらく会わない日が続いたまま、年度末が近づいた。暦の上ではもうすぐ春だが、その日は寒の戻りでひどく寒かった。  その日、僕と彼女は久しぶりに会うことになっていた。ところが待ち合わせの場所へ向かおうとする僕に災難が降り掛かった。  それは玄関のポストに届いた大学からの封書。開いて中を見た僕は全身の血の気が引いていくのを感じた。  待ち合わせの場所である公園へ着くと、彼女は先に来ていた。僕の様子を見た彼女はすぐに異変に気づいた。 「どうかしたの?」  しばらくの沈黙の後、僕はこう彼女に伝えた。 「……留年した。」  そして僕は、君との時間を作りながら学業に専念するなんて器用な生き方を僕にはできない、と彼女に別れを告げた。
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