『絶滅動物』

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『絶滅動物』

『ええ!!ほ、本当ですか!?そ、それって……、でも、そのメッセージを記した誰かがサーベルタイガーや他の古代生物達を何らかの目的の為に過去から連れて来たって事ですか?』 翔真は、仲谷獣医からの電話に思わずスマホを落としそうになった。 『まあ、文面から読み取ればそういうことになるな。だが、当然我々が普段過ごしているこの生活圏内に存在する者ではない事は確実だろうな。彼らが持ち得る技術も我々の理解の上にあるんだろう。もちろん、イタズラという可能性も捨て切れないが……。翔真君、どうかね?今度会う約束をしていた竜二君とあと、その叔父の水谷さんにも来て貰えたらと思ってね。彼らと会って、いろいろ話を聞く価値は充分にあると思うんだが…。』 『そ、そうですね。わかりました、それじゃあ、竜二を通して水谷さんにも伝えておきます!では、来週の木曜日の、少し早めに夜六時半頃先生の病院に三人で向かいます。ああ!そうだ、溝口さん家の大作さんにも声かけてもいいですか?いろいろお世話になったので……。?』 『ああ、もちろん構わないよ。観客は多い方がいい。』 電話を切った仲谷獣医はしばらく腕組みしながら考え込んでいた。 ”もしかしたら………、『彼ら』は夜間、人目を避けてこのExーBeast達をあの林に放獣してるのかもしれない。翔真君が遭遇したのも二回共夜だった。何が目的なのかはわからないが……。“ 仲谷獣医の心の中では、あの林に行って何かしらの証拠を掴みたいそんな衝動がじわじわともたげて来たのだ。もう既にあの二人の看護士は帰宅し、病院内は仲谷獣医一人だった。あのダイアウルフとおぼしき動物のDNA鑑定の結果はまだ発表されていなかった。後輩の犬飼に頼んだ鑑定もまだ結果待ちだった。 もうこれ以上待つのには、痺れを切らしていたのだ。『彼ら』と会えるのも後まだ一週間先だ………。あの林はもう既に、警察や猟友会の大捜索は打ち切られ、元の状態に戻っていたのだ。 そして、仲谷獣医は、思い立った。簡単な準備を済ませると、慎重な足取りであの林に向かって歩き出したーーー。 だがーーーーーーーー、これら『ExーBeast』達はその担い手である『彼ら』の手元を離れ、徐々に暴走の一途を辿り始めていた。 その担い手達の想像以上の速さで。 世界各地で今までとは比較にならない程の速さで、様々な古代の巨大生物が出現し、現生動物達のその生態的地位(ニッチェ)を脅かす存在となりつつあったーーーーーーーーー。今、この瞬間にも。 ※※※ インド北西部に位置する、『ギル森林国立公園』。 ここにはあと個体数僅か五百頭のインドライオンが生息する。この国立公園内にはトラは生息しておらず、ここでの頂点捕食者はライオンである。 その国立公園の保護官が象に乗って巡回している時、象が警戒し、一瞬立ち止まる。と、その時、横の茂みから、インドではお馴染みのアクシスジカが一匹飛び出し、その後を追うようにインドライオンが飛び出してきて、猛然と獲物に襲いかかる。あっという間に、獲物の喉元に食らい付き地面になぎ倒す。だが、その瞬間、横の茂みからライオンよりも一回りは大きい巨大な肉食動物が現れ、一気に獲物を奪い取ろうとする。ライオンの方も当然大事な獲物を奪われまいと、防戦を試みるが逆に反撃を食らう。体格の差は如何ともし難く、首根っこを噛みつかれ激しく地面に抑え込まれる。 仲間が助けに入るが、二対一となっても形勢は変わらない。その仲間のライオンもパワーの差見せつけられるように、激しく地面に押し倒される。 保護官の叫び声と威嚇射撃が辺りに響き渡るーーーーーーーーーーー。 倒されたインドライオンは、狂ったようにその場から逃げ出す。 その巨獣は……………、我々が知り得るどの動物とも似ていない。 イヌとクマの両方の特徴を兼ね備えた、がっしりとした体躯の持ち主である。 **************この獣も、 『ExーBeast』。名はアンフィキオン、別名ベアドッグとも呼ばれている。**************** ※※※アメリカ合衆国内最も歴史の古い国立公園、『イェローストーン国立公園』。ここでは絶滅したハイイロオオカミを復活させるべくカナダから連れて来られた31頭が1995、96年にかけて放たれたのだ。今、現在100頭弱が生存。 他に、ヒグマやコヨーテ、ワピチにヘラジカなども生息している。 観光客もまばらな日も暮れかかった公園内。遠くの平原を何かから必死で逃げるアメリカバイソンの群れ。群れはかなりの距離逃げて来たようだ。周りの観光客も気付き、騒めきだす。そして、遂に一頭のバイソンがその追って来ていた大型の捕食者に捕まり、背中から襲いかかられる。見た事もないその獣に周囲の観光客から叫び声があがる。その獣は二頭、バイソンの背中にその長大な牙を突き立てる。こんな大型のネコ科動物はこの公園内に存在しているはずがない。そして、あの巨大なバイソンをいとも容易く息の根を止める。 オオカミの群れが、この獣の体格と迫力に圧倒されてかこの光景を遠巻きにみている。一気に肉に食らいつく二頭。バイソンの肉の一部はもう既にこの獣の胃袋に収まっている。 *************** この獣も『ExーBeast』名はスミロドン・ポプラトール。翔真が最初に遭遇したファタリスより大型のスミロドン属最大種。***************
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