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ユキオニ
朝、寒いなと思って目が覚めた。
顔を上げた先、窓の向こうを眺めれば、辺り一面、真っ白な雪景色に変わっていた。
どうりで寒いはずだ、と御神は内心で呟いた。
ゆっくり身体を起こして御神が伸びをすると、いつの間にか肩に掛けられていた毛布が床に落ちた。
どうやら看病しながらそのまま眠ってしまっていたようで、親切な誰かが羽織らせてくれたのだろう。
起こしてくれればいいのにと思いつつ、御神はぼんやりと窓の外をしんしんと舞い落ちる白い雪を眺めた。
思い起こされるのは、先日の任務の際に分断され、たった一人で敵と対峙した神崎が、真っ白な雪原を赤く染め上げて倒れ伏していた姿だ。
そこで一体何があったのか、彼の身に何が起こったのか、傍にいられなかった御神にはわからない。
だからそっと、目の前のベッドで眠っている相手に小さく声をかける。
「……神崎さん、朝ですよ」
彼はまだ、目を覚まさない。
***
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