新しい命を宿して

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「おめでとうございます。妊娠十週目ですね」 妊娠検査薬での陽性反応を確認していた私は、その日、産婦人科を受診していた。前回、翔に抱かれてから三ヶ月弱が経過しており、生理も遅れていたが、それ以外の目立った症状もなく仕事も忙しかったから、妊娠の可能性を考えながらもここまで最終判定が伸びてしまった。 「先生、ありがとうございます。とても嬉しいです」 私の担当はまだ若い女性の医師で、とても気さくに話をしてくれる。 「妊娠で不安なことも多いと思いますが、何かあればいつでも相談して下さいね」 そう和かに話す彼女に私はどうしても聞きたい事があった 「先生、妊娠初期には飛行機に乗っても大丈夫なんでしょうか?」 彼女は大きく頷いた。 「問題無いですよ。よく飛行機に乗ると流産の危険が有るとの話を聞きますが、全く根拠の無い噂です。ただ、悪阻(つわり)が酷い場合は、飛行機酔いが助長されることがありますから注意が必要ですが・・」 私は全く悪阻(つわり)が無かったので、大きく安堵した。 「先生、ありがとうございます。早くパパに直接話がしたいので・・」 私はその日、自宅に帰ると、妊娠のことを両親に話した。まだ結婚前の妊娠だったので特に父からは叱責されると思っていた。でも二人とも最初は少し戸惑った表情を浮かべていたけど、最終的にはとても喜んで祝福してくれた。
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