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息も白む冬の寒い朝。俺の首元は温かい。
何故って言ったら、彼女のお手製マフラーを巻いているからさ。
高校に入って付き合い始めた彼女が、先日の俺の誕生日に手編みのマフラーを作ってくれたんだ。
ちょっとよれよれで不格好ではあったけど、何より気持ちが嬉しくて、毎日巻いている。彼女はそれを見るたびにっこり笑う。可愛い。
「どう? どう? 温かい?」
「うん、温かい」
何度も繰り返す問答。毎回の事だが彼女は俺の答えに、にこぉっと笑う。可愛い。
心も首も温かい。何の不満があろうものか。
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