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わたしには、憧れの先輩がいる。
高校三年生で、生徒会長をしている結城先輩だ。
わたしの高校入学式の日。
在校生代表として壇上にあがり、お祝いの言葉を述べてくれた。
初めて目にした先輩の、さらさらの髪に縁どられた甘い顔立ち。なんとも艶麗な微笑み。耳に心地よい声。
まさしく一目惚れだった。
瞬く間に、新入生の女子のあいだで、結城先輩の情報が走る。
文武両道で性格も穏やか。
普段から、とても物憂げな雰囲気を醸しだしていてミステリアス。
どうやら彼女はいないらしい。
それがわかったところで、わたしにはどうにもできない。
一年と三年。
部活も生徒会もなにも接点がないわたしは、先輩に近づくことさえかなわない。
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