異なるい

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 高校に入学してから、毎日の授業や定期考査など、バタバタと忙しい日を送る。  気がつけば、もう夏休み直前。  夏休みは嬉しい。  けれど、先輩の姿を見ることができなくなるのは残念だ。  高校には、仲の良い友だちとのおしゃべりと、先輩を眺めるという楽しみだけで来ているといっても過言ではない。  そんなときに、友だちの春奈(はるな)ちゃんが、上級生から噂を仕入れてきた。  その内容は、なんと結城先輩は高校一年のころ、同学年に才色兼備の彼女がいたというものだ。  人形のように可愛らしく、長い黒髪がとても綺麗な少女で、それはそれはステキなカップルだったそうだ。  ただ、その彼女はとても嫉妬深かったようで、普通のクラスメイトであっても女生徒は一切、結城先輩に近づけさせなかったらしい。  その彼女は、高校一年の冬に、病気で亡くなったそうだ。  それを知って、わたしは納得した。  普段から見せる先輩の、あの憂いに満ちた表情。  ああ、きっと彼女のことを本当に愛していて、いまも忘れられないのだ。  だから先輩は、新しい彼女を作らないのだろう。
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