異なるい

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 そんなとき、友だちの春奈ちゃんが、新たに上級生から噂を仕入れてきた。 「ねえ、結城先輩って、いまは恋愛に対して消極的だそうだけれど、それが原因で、彼女を作らないわけじゃないみたいよ」 「え? それって、どういうこと?」  わたしは首をかしげて、春奈ちゃんを見る。 「なんでも、一年の冬に亡くなった彼女、亡くなったあとも独占欲が強いらしくて。いまでも結城先輩に近寄る女の子を、呪いで遠ざけているんだって」 「え?」 「これまででも、結城先輩に告白しようとした女の子たちは、みんな何かしら不審な怪我を負っているんだって。それを知っている上級生はもう誰も、結城先輩に告白をしなくなったみたい」  春奈ちゃんは、それから表情を暗くして続けた。 「噂では、女子を遠ざけるだけじゃなくて、彼女は結城先輩の命も奪おうとしているんじゃないかって言っていたよ」 「そんなの、嘘だよね……」  わたしは、そうつぶやくことしかできなかった。  先輩が、彼女に取り殺されるなんてこと、ないよね?  先輩、いなくならないよね?
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