異なるい

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 春奈ちゃんが聞いてきた噂を、冗談だと思っていたわたしだけれど。  秋が深まり、冬が近づくにつれて、妙に落ち着かなくなってきていた。  時折見かける結城先輩の生気が、弱くなってきた気がするのだ。  受験は推薦で、もう大学も決まっていると聞いた。  なのに、先輩から、以前のような笑みが失われているように感じられる。  そう口にすると、春奈ちゃんは決まって、嫉妬深い彼女の呪いのせいかもよって言った。  そのうちに誰にも渡したくないから、先輩は取り殺されるんじゃない? とも。  わたしはもう、不安しかない。  結城先輩を、助けられないのだろうか。  どうすればいいのか。  助けられるものなら。  誰も助けようとしないのなら――わたしが先輩を助けたい。
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