異なるい

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 そんなわたしに、春奈ちゃんは言葉を続ける。 「彼女の手編みの、あのマフラーをしていたら、もう誰も先輩に近づけない雰囲気がするよね。嫉妬深い彼女の呪いがありそうで」  本当にそうだと、わたしも思った。  結城先輩がそれでよいのであれば、まったく先輩に近寄る勇気のないわたしが、どうこう言える立場ではない。  しんみりしたわたしに、春奈ちゃんが心配そうな顔をする。 「前にも言ったかもしれないけれど。結城先輩、去年は冬に一気に弱まったって。彼女が亡くなった季節になったからか。もしくは、本当に彼女が結城先輩を呼んでいるんじゃないかって」 「そんな……」 「だから、今年の冬が峠じゃないか――なんて噂もされているみたい」  そんな話を聞いたわたしは、いてもたってもいられなくなる。  でも、どうしようもないじゃない?  受験時期の三年生は、三学期はほとんど登校してこない。  姿を見られるのは、あとわずかだ……。
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