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シャルロットと不思議なホーンテッド・ハウス
夜も更けた頃、親衛隊の寝泊まりする部屋にベンジャミンとクロウが遊びに来ていた。
クロウはオオカミの姿になって、ユーシンの布団に潜り込むと大欠伸をしていた。
「それでね、アンデットラインには歴史ある廃病院があってね。戦時中はペレー国の軍隊が、野戦病院としても利用していたんだ」
真っ暗な部屋、ロウソク一本に火を灯しーーベンジャミンが真顔で語ってくれた。
それを真面目に聞いているのはキャロルとユーシン、アヴィだ。
「戦時中には、敵国の捕虜や反逆者を検体に、生きたまま解剖したり治験なんかをしていてね。そんな非道な実験で死んだ検体の魂は死ぬに死に切れず、現在でも夜な夜なゾンビになってフラフラと外を彷徨っているそうだよ」
「ヒィ〜!」
キャロルは顔を真っ青にしてベッドの上で震えていた。
アヴィは、ベンジャミンが話してくれるオカルト話を面白そうにニコニコ笑いながら黙って聞いている。
ユーシンは苦笑していた。
「医者が話すと、なんだかリアリティが出ますね」
「ふふ。じゃあ、レジェンド騎士団の怨霊の話なんかどうでしょう?」
「騎士団のお化け?」
「うん。昔、世界一強くて大きな騎士団が存在していました。しかし、その騎士団の膨大な資産目当てに、王様がテキトーな罪状で汚名を被せて、罪の無い騎士達を次々と処刑してしまったんです。そんで資産は没収され解体されてしまったんですが、死んだはずの騎士団の怨霊がアンデットラインを闊歩しているんだとか〜!」
「ヒィ〜」
絶叫するキャロルの隣で、アヴィは目を輝かせた。
「世界一の騎士団か〜!スッゲェ〜!会ってみたい〜!剣術習いたい〜!」
「うん、レジェンドな騎士か〜、そんなにすごい人なら確かに会ってみたいかも」
ユーシンも笑った。
騎士達の反応を見て、ベンジャミンはにっこり笑った。
「もう会ってるじゃないですか?デュラハンも、その騎士団の一味でした。最強と謳われる騎士団の中でも、特に強かったそうです」
「え?首無し騎士のデュラハンが……?」
キャロルが呆然としていると、突然音も無く寝室の戸が開きーーいつのまにかベッドまで足音も無く近付いてきたデュラハンが、ぬっとキャロルの目の前に顔を突き出してきた。
デュラハンの赤い目がジロリっとキャロルを見る。
「うぎゃああああ!」
再度、絶叫するキャロルに焦るデュラハン。
「ほ、ほえ?驚かせちゃってごめんなさい……ぼ、僕、ただ、みなさんがよく眠れるようにと、安眠効果のあるお香を焚いてあげようと……」
「キャロルは恐がりだもんねぇ」
クロウはケラケラ笑う。
ベンジャミンは恐怖のあまりウサギになったキャロルを抱っこしてあやした。
「デュラハンも一緒に眠らない?みんなで雑魚寝しようよ〜」
「へ?いいの?」
「男だらけでむさ苦しいけど、パジャマパーティー?的な〜」
「わわ〜」
「怖い話か〜恋話でもしちゃう〜?」
「わぁ〜!」
ベンジャミンとアヴィのフレンドリーなお誘いに、デュラハンは喜んで、可愛らしくぴょんぴょん跳ねた。
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