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「なーなーなー」
三郎が寺の門を叩きながら叫んでいると、ぎっと音を立てて内から開いた。
「おじゅっさんに……」
寺男は三郎を下から上まで舐め回すように眺めた後、無言で顎をしゃくり中へと促す。
中に通されると、寺の住職とおぼしき老人がやってきた。
「三郎、髪がえらいがっそう(髪がばさばさ)やなぁ。折角きれいな顔してんのになぁ。後で湯浴びよな。これ、儂にか?おおきに」
握った曼珠沙華を差し出す三郎の表情に余り変化は無かったが、住職の言葉に微かに頬の強張りが取れたようにも見えた。
「そこ、どないしたん?また、おとにやられたんけ? 」
住職が三郎の額を指差して顔を顰める。
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