見えない悪意

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*  次の日の朝、織田さんに会いたくなくて、俺は母さんに頼み込んで、車で学校まで送ってもらった。  頑張って授業を受けたけど、やはり途中で気持ち悪くなって、早退する羽目になった。  昨日一日中寝ていたにもかかわらず、身体は濡れた毛布に包まれてるように重くて、寒かった。  風が吹くと、更に凍える。  長谷川マサルのマフラーは、玄関に置かれたままだった。  織田さんは俺を恨んでいたのか。マサルを殺したと、怒っていたのか。  俺を、殺したいと、思っているのか。  倒れそうになるギリギリの精神状態で、角を曲がる。家まであと数十メートルで着くという所で、向かいのアパートの二階から、人が降りてきた。 「寒そうねぇ。マサルのマフラー着けてないじゃない」  ごめんなさい。口を動かしたつもりだったけど、俺は上手く言えただろうか。  掠れた視界の中に、シワの刻まれた両手が見える。  ごめんなさい。  その手は、ゆっくりと、俺の首元に伸ばされていく。  ごめんなさい。 「……おかえり、まぁ君」 終
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