見えない悪意

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 思い出しても、何も解決策は見つからないかもしれない。でも、モヤモヤとする頭をかかえて、当時の事を思い出そうとしていた。  長谷川マサル、長谷川マサル。  やはり、遊んだ記憶もないし、絡んだ記憶もない。  ゲームでもしようとパソコンを立ち上げた時に、一つ、思い出した。  そういえば、当時遊んでいたネットゲーム。対戦相手の顔は見えないけど、通信エリアの関係で、同じ小学校だと言っていた。  あの時のデータが残っているだろうか。   バトル系のゲームで、チームを組んで敵を倒していくゲームだった。  ゲーム名を検索すると、すぐに見つかった。当時のパスワードを入力しログインする。  ずっと放置していたゲームのチャット記録は四年前。  俺のハンドルネームは、なんの捻りもないmasahiro.sだった。同じチームの仲間には……。 「……いた」  長谷川マサル、HASEma、こいつだ。  向こうは気付いていただろうか。ひょっとしたら気付いていたのかも。  HASEmaは、ぶっちゃけゲームが上手い方ではなかった。いつも最初に敵に見つかって、殺される。  誰かが足を引っ張ってチームが負けると、毎回チームみんなの文句は一人に集中される。  俺が言われる事もあったけど、「バカ」や「何やってんだよ」「一人で死ねよ」とチャットで言われるのは、自然に下手なやつが多くなる。
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