見た目は普通の男の子

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見た目は普通の男の子

 5年2組にやってきた転校生の木村くんはちょっと変わっている。  転校初日、僕の席の隣になった彼はいきなりこう言ってきた。 「ねえ、この辺りに心霊スポットってない?」  一言目がこれである。  クラスの彼への第一印象は、当然よくなかった。  木村くんはとにかくオカルト好きらしい。  休み時間になる度、隣の僕に色んなオカルト話をしてくる。 「エリア51の極秘文書が流出して……」 「河童は宇宙人説ってちゃんとした根拠があって……」 「日本に昔千里眼の超能力者がいたんだけど……」  面白いつまらない以前に小5の僕には難しい話が多くて半分以上理解できなかった。  そんな中、彼は前に住んでいた街の話をたまにする。  そこは"はらわた町"という場所で、どこにあるかはよく分からない。  ある時彼と下校していると、思い出したかのようにその町の話をしだした。 「――たまにさ、道を歩いてると落し物があったりするじゃん?」 「うん」 「前にいたとこは落し物が多くてさぁ。何でかわかんないけど、冬に多かったんだ」 「あ〜あるよね、手袋とかマフラーとか」 「いや? 1番よく落ちてるのは手首だったよ」  さらりと言った木村くん。聞き間違いかと思って自分の手を指さして確認した。 「え、え、てくびってこれ?」 「そうそう、誰かの手首。なんで落とすのかなぁ、多い時はもうそこら中に落ちてたよ。踏まれて潰れたやつは見たくなかったなー」  木村くんと彼のいた町は、やっぱりちょっと変わっている。
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