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メールの内容は
《人狼ゲームのスタートです》
この一言だった。
「人狼ゲーム??どういう事なんだ?」
瑛太が呟いたその時だった。
開かなかったはずのドアが急に開いたのだ。
クラス全員がドアを見た。
すると、高校生くらいの男性が入ってきた。
「お兄ちゃん、誰なんだ?まさか、俺たちを助けに来てくれたのか??」
瑛太は問いかけた。
すると、その高校生は口を開いた。
「私は人狼ゲームの進行を務める渡邉怜治と言います。これから、お世話になります。」
その言葉を聞いた瞬間、クラス全員が驚いた。
「え?ま、待てよ。じ、人狼ゲームの進行??何言ってるの??お兄さん??」
瑛太はパニックになっていた。
クラスもザワついていた。
「まぁまぁ、落ち着いて聞いてください。」
怜治は皆を落ち着かせた。
クラスが静かになると、怜治は説明を始めた。
「皆さん、人狼ゲームとはご存知ですか?そう、あの人狼ゲームです。なぜ、このクラスの人にメールを届けたかと言うと…。」
怜治は大きく息を吸った。
そして、口を開いた。
「人狼がこの中にいるからです!!」
怜治はそう言った瞬間、静かだった教室がまたザワついてしまった。
「ええ!!誰が人狼なんだよ!!」
「怖いよぉ!!」
「皆さん!!落ち着いてください!!まだ話は終わっていませんよ!!」
怜治があまりにも大きな声で言ったため、教室はビックリするくらい静かになった。
「とにかく、人狼ゲームのルールを説明しますね。」
「人狼はこの中に2人います。この2人の人狼を暴き出すことが出来れば、あなた達の勝ちです。しかし、人狼とあなた達が同じ人数になれば、そこでゲームオーバーです。」
「怜治さん、ちょっと質問いいですか?人狼と僕達が同じ人数になるって…、どういう事ですか?」
蒼介は問いかけた。
「今から説明します。このクラスの人数は何人ですか?」
「15人です。ここは田舎の学校なんで、1学年に1クラスしか無いんです。」
「15人ですね。では、4日で決着がつく可能性がありますね。」
「え?どうしてですか?」
「人狼ゲームは毎日、話し合いで一人処刑する人を決めなければいけません。さらに、夜中、人狼に一人殺されるため、1日に2人殺されることになります。」
「え!!待って!!ってことは、僕達、殺されるってこと!!」
さすがの蒼介もソワソワしていた。
「大丈夫です。もし、皆さんの市民組が勝てば、この出来事はなかったことになります。しかし、人狼組が勝ってしまえば…。」
「勝ってしまえば?」
瑛太は唾を飲み込んだ。
「このクラスの人、全員が死にます。」
「えええ!!!」
瑛太は驚きすぎて、椅子から落ちた。
「だ、大丈夫?」
蒼介はそんな瑛太に手を差し伸べた。
しかし、瑛太はその手を叩き、自分で立ち上がった。
すると、怜治を睨みつけ、急に怒鳴った。
「そんなの、そんなの嫌だよ!!俺はこのクラスが大好きなんだ!!学校、クラス、クラスメイト、先生、教室、机、椅子、黒板、文房具、サッカーボール、サッカーゴール、全てが大好きなんだ!!最高の出会いを台無しにするつもりなのかよ!!」
瑛太の声が教室に響き渡った。
「しかし、ここで人狼ゲームに参加しなかったら、人狼はあなた達を全員殺すはずです。だからこそ、人狼ゲームで人狼を暴き出し、このクラスを救うのです!!」
怜治は一生懸命説得した。
瑛太は黙り込んでしまった。
「とにかく、一通のメールを送りますね。」
怜治はそう言うと、またメールを送った。
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