稀代のロマンティスト

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 アルファロメオGTVに乗ってた時も往年のレーシングカーを駆る伝説の名ドライバーになった気分でアルファV6ミュージックを社外マフラーから奏でて楽しんでいた。  F1グランプリでTIPO159を駆るファン・マヌエル・ファンジオなんかに思いを馳せ、擬した日には、   おお、雄々しいアリアが  時に陽気なイタリア娘のお喋りの様な調べを奏で僕を楽しませ  時に叙情的な旋律で数々の栄光を語り掛け僕をロマンに浸らせ  レッドゾーンに至れば甲高い極上の美声を天地に轟かせ僕を熱狂させ  いつしかオリュンポスの神々の狂気が僕を洗脳し  知らぬ間に今にも破滅しそうな偉大なる喜びを享受する僕を知り  その須臾の間、走るアートと化す僕を知る  なんて詩人よろしく即興で詩を作って口遊んじゃったりする。  何しろアルファは名門中の名門でアルファのレーシング部門はあのエンツォ・フェラーリが総責任者だったんだからね、伝統が息づいてて楽しくなる筈だよ。      
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