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マフラーに罪は無い
今日、一年間付き合っていた彼にフラれた。
終わりはなんとも呆気ないもので、カフェに呼び出されて「別れて欲しい」と告げられた。
それでおしまい。
カフェの外に出ると、夜風が身にしみる。
マフラー巻き直そうと手に取って気付く、これは去年彼にプレゼントしても貰ったものだ。
堪らず紅いマフラーを外した。こんなもの、もう要らない。
あいつに貰ったマフラーなんて、捨ててしまおう。
その瞬間、首元を刃のように冷たい風が駆け抜けた。
「寒っ……」
思わず声が出た。
今夜は冷える。雪も降り始めた。
……まあ、マフラーに罪は無いしね。
マフラーを巻き直し、その温かさに感謝する。
さて。
次はどんな恋が出来るかな。
雪が降る街を、軽い足取りで歩き始めた。
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