1.双子

1/1
前へ
/19ページ
次へ

1.双子

どんなことがあったって、信じられる家族と魔法。 私には双子の姉がいる。 双子なのに、顔はぜんぜん違う。 私はとても平凡で、描来(かけら)はボーイッシュなイケメン。 「美嗚(みお)もイケメンになりたい!」 今でもよく言う口癖。言う度、描来は困り顔。 何年前だったか忘れたけど、髪をめっちゃショートにしたことがある。 「!?」 立ったまま、お風呂場の鏡を見ながら、チョキチョキと髪を切っていた。 描来の気配に気づき、振り返った時、あまりにびっくりされたから、なぜか涙がこみあげた。 「……描来と同じにならない」 美容院にも行かず、家のハサミで切ったからバラバラだし、学校でなにかあったのかと、しつこく描来に聞かれた。 その後、描来が髪を切り揃えてくれて、手を繋ぎ、一緒にお風呂に入った。 うつむく私の顔を覗き込み、コツンと額を合わせてくる。 「悩んだら、まず相談な!」 見つめ合う、ふたりの瞳は揺れて、愛しくて切なかった。 抱きつきたい衝動をおさえて、キュッと目を細めた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加