4人が本棚に入れています
本棚に追加
6.恋人同士
「ところで描来さん」
「……はいはい、なに」
真ん中が描来、左が駆くん、右が私。
3人になると、いつもこの感じ。
駆くんが合流するのは、いつものこと。
合流してから5分くらいで学校に着く。
「そんなツンツンしなくてもいいでしょう? 恋人同士なのに」
ぷにぷにと描来の頬をつつく駆くん。
「美嗚が見てるだろおお!」
一瞬、ガチおこな声を出す描来。
「お似合いだね」
つい、そんな言葉が出てしまう。
「ちがーーーーう!」
「……そう見えます? 美嗚さん」
うんうんと頷くと、駆くんはしてやったり顔。
描来は心外そうにしてる。
「愛・し・て・ま・す・よ。美嗚さん」
「……ぶわああっ、か!」
めっちゃ赤面して怒る。描来がとても可愛い。
(私にもそんな顔見せてよ……)
しゅんてしてしまう私に、「違う違う!」と描来が慌てる。
「僕……本当は!」
なにか言いかけて、ハッとして、駆を振り返る描来。
「描来さん……?」
見つめ合うふたりの顔は、どうにも恋人同士という感じじゃない。
描来の方は怯えてる感じ、駆くんはなぜか冷たい。
「……チャイム鳴ったよ」
私の一言で、ハッとふたりが我に返る。
「そうですね。ふたりとも行きましょう」
最初のコメントを投稿しよう!