守ってあげたい

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何気なく、ふっと目を開くと、真っ白でふわふわしたもので視界がいっぱいになり、ぎょっとした。 「本当にお綺麗ですね。 新郎様もさらに惚れ直しますよ。」 近くで女性の声が聞こえて、視線を上げると、正面には鏡。 真っ白なウェディングドレスに身を包んだ愛しの彼女の姿。 そして、その斜め後ろに立って微笑む担当プランナーさんの姿。 「新郎様を呼んできますから、このままお待ちくださいね。」 プランナーさんがパタパタと出ていき、同じタイミングでメイクさんたちも出ていき、ドアが静かに閉まる。 そして部屋に残されたのは、微動だにできない……俺。 状況がつかめず、恐る恐る右腕を上げてみる。 すると、鏡の中の彼女の右腕が上がった。 「嘘だろ?」 思わず呟いたが、聞こえてきたのは自分の声じゃなくて、かわいらしい彼女の声。 え……っと? 今日は彼女である美結とめでたく結婚式を挙げることになっていて、俺もついさっきまで新郎用の支度部屋で着替えをして……美結の支度が済むのを待っていた……はず……。 ちょっとぼんやりしてきて、意識が途切れた気はするが、そんな長い時間ではなかった……はず。 で、目を開けたら……この……状況。 正直、フリーズ。 もう何をどうしたらいいのか、完全にキャパオーバー。 あー。でもやっぱ、美結、最高にかわいいなぁ……。 確かに惚れ直すわ。 鏡の中の彼女のドレスは真っ白で、ふわっふわで、お姫様みたいだ。 童顔でかわいらしい顔立ち、小柄で華奢な体つきの彼女に本当によく似合っている。 ───俺が一生守ってやるから。─── プロポーズした時にそう言った。 だってこんなかわいらしい人、大事に大事に守ってやらなきゃいけないって思うのは当たり前だろう。 で、この状況。 守ってやるべき彼女に……俺がなっている……ということ……なのか? トントン。 部屋がノックされる。 どう反応したらいいか戸惑っている間にも扉が開かれる。 「新郎様をお連れしました。」 担当プランナーさんの後ろから現れたのは、紛れもなく……俺。 俺はこっちを見て大きく目を見開いている。
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