守ってあげたい

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式は人前式。 誓いの言葉は良太郎が読み上げて、私は最後に名前を言い添えるだけの予定だった。 緊張しいな私を気遣って、良太郎がそうするって決めてくれた。 でも、今日は私が良太郎の姿なんだから、私が読み上げないといけない。 良太郎らしく、堂々と、みんなの前で誓うんだ。 「本日、私たち二人は、ご列席の皆様を証人とし、結婚を誓います。 これから先、幸せな時も困難な時も、お互いを愛し、助け合いながら、幸せな家庭を築くことをここに誓います。」 ここまで読み上げて、あれ? と思う。 事前の打ち合わせでは、ここで終わりで、今日の日付とそれぞれ名前を言っておしまいだったはず。 なのに、言葉が続いていた。 ───私、新郎神谷良太郎は、新婦美結を一生守り抜くことをあわせて誓います。─── プロポーズの言葉を結婚式でも改めて誓ってくれようと思ってたんだ……。 きっとサプライズのつもりだったんだな。 うれしい……うれしいけど……プロポーズの時にも感じていたことが再燃する。 頼りない私でもね。やっぱりね。 私はすっと息を吸う。 言葉が止まってしまったことを気にして、私の姿の良太郎が心配そうにこっちを窺っているのもわかってる。 「私、新郎神谷良太郎は、新婦美結を。そして新婦美結は、新郎良太郎を、一生守り抜くことをあわせて誓います。」 隣を見ると、私の目が大きく見開かれ、みるみる涙が溜まっているのがわかる。 あぁ、私だったら絶対こんな反応だったと思う。 やっぱりすごいな、良太郎。 誓いの言葉が終わったら、誓いのキスの予定だったから、私は私の姿の良太郎の右の頬にそっと左手を添え、左肩に右手を乗せて、ゆっくりと目を閉じて唇を寄せた。 自分にキスしてるみたいで変なの。 そんなことをチラッと思った。
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