恋煩い

理性

おっとしまった、情けない、ころころ意思が転がってしまった！！この野郎！意気地無しが！臆病者め！ひとりでに熱くなっただけのフライドチキンかてめぇはよ。ああ、怖い怖い。あいつがなんか言ってくる。怖い怖い。って僕なんだけど。うーわ、ないわー、マジないわー。最悪。つーかわかってんの、僕？話しかけないと、葉月さんのことなんもわかんないじゃん、馬鹿なの？あー、馬鹿だったね、ごめんごめん。冷めたわ、そこどいて、邪魔だから。うぅ、きついきつい。あの女がなんか言ってくる。きついきつい。って僕なんだけど。どうしよう。いろんな自分に見捨てられた！！なんだってこうなったんだ。いや、これは僕のせいじゃない。クラスが違うのがそもそも悪いんだ。一緒だったら、話しかけてるもん。本当に真っすぐ話しかけに行くね。真っすぐはちょっと引かれるか。やめておこう。じゃあ、どうしたらいい？昼休みと放課後の図書室に一週間粘ってみたが、文芸部の先輩にうっかり見つかってしまったことしか出来事はなかった。「朝倉君、部活来てね〜」って穏やかそうに、しかし少々の怒気を含んで言われた。「はい！！」って静謐な図書室で声を張り上げたものだから、赤くなった先輩は僕から急に離れていったんだ。すると、胸の内に先輩に迷惑かけてしまった申し訳なさが粘りついてきて僕はしばらく青くなっていたけど。しかし、なぜ葉月さんは図書室に来ないのだろう？読書が好きだと思ったけどそうじゃないのか？まだ粘着力が足りないのか？どうなんだ？もう諦めようか？このままいくと僕はやばくなっていくぞ？理性はあるから今のうちにストップかけようか？理性？理性なんてあったか？そんなものあったか？あら？あらま？どうしたことでしょう！？理性がないことに今気づいたのであります！どうぞ歓迎してください！どうぞあざ笑ってください！どうぞ見捨ててください！理性理性理性……。理性なんて言ってたら、葉月さんに一生近づけないぜ。もちろん、嫌がられたらきっぱり引くつもりだ！そのくらいの理性だけありゃいいさ、恋なんて。めざせ、葉月さん！！あの優雅なポニーテールの葉月さん！！フライドチキンはいかがです？