AM10:00

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想像したら、急激に耳から顔から体中が熱くなった。 そのあとは、なにがなんだか覚えていない。 服を奪うようにして引ったくり、ボタンのかけ違えも気にせず、真っ赤なシーツの中で早着替え。100パーセントカタカナ英語のセンキューだけ言って、部屋を出た。 高級感のあるマンションの天辺だったのは、ぼんやり覚えてる。 そして今、予定通り我が家の白いシーツにくるまっている。目覚めれば白。それで良いし、それが良い。早朝の燃えるような赤いシーツは、夢だと言わんばかりの純白は、私に安らぎをくれる。 いや、本当に夢だったのかもしれない。だって、私は、仕事と酒が恋人のような女だ。外国人とはいえ、魅力を感じるわけがない。それに白いシーツは、ヌクヌクだ。 馬鹿な現実逃避を白の中で繰り返す。 こうして、私は、午後からの殿様出勤を決めた。だから、まだ知らない。 今日から配属となった新しい上司が、金髪イケメンで、ゴリゴリの日本国籍ハーフだということを。 この上司、関西出身、派手好きで、どこかの怪盗キャラクターよろしく真っ赤なスーツを常に着用していることも白いシーツの中の私は、知らない。
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