AM10:00

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「Good Morning! なんつって。ジョージ村上です。こう見えて生粋の関西人やから、コミュニケーションは、日本語で頼むわ。因みに、オトンが大阪人。オカンがアメリカ人な。名前は、ジョージブッシュからやから。ショージとちゃうで。ジョージな。コレ間違えたら、大変なことや。せや、この髪は、地毛とちゃうで。ホンマは黒やから。今日は、ビビらしたろーと思って、金髪にしたんや。似合ってるやろ。好きなタイプは峰不二子。東京勤務は初めてやし。昨日、飲み屋で一緒になった東京のネェちゃんに、一張羅目掛けてゲロ吐かれて、文字通り洗礼浴びてるから、手柔らかによろしくな」 息継ぎなし。矢よりも早い弾丸のスピードで自己紹介した上司……いやジョージ。この時点で同僚達は、タジタジだったらしいが、この後も化け物じみたコミュ力で社内を蹂躙し、社長にまで挨拶をしにいったらしい。 しかし、この時の私は、まだ知らない。 午前十時。私の目覚めは、穢れなき白だ。 例え昨晩、飲み屋で出会った男の赤いスーツと自分の服をゲロまみれに汚したとしてもだ。この中では穢れを知らないでいられる。 さぁ、もう一時間ほど眠って、体内のアルコールを抜くとしよう。起きたときには、白いシーツがおはようを言ってくれるはずだ。 目覚めたら、白が私のささやかな幸せなのだ。
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