181人が本棚に入れています
本棚に追加
「翔ちゃん、はい!」
私は、翔ちゃんが予約をしてくれたレストランでプレゼントを渡す。
「ありがとう、紗良。
じゃあ、俺からも」
翔ちゃんからのプレゼントは、細長い箱。
「開けてみていい?」
私は翔ちゃんからの初めてのプレゼントが嬉しくて、すぐにも開けたい気分。
「もちろん。俺も開けてみていい?」
「うん」
私たちは、同時にプレゼントを開封する。
「ぅわぁ! すっごく綺麗」
翔ちゃんがくれたのは、ネックレス。
すごく神秘的な青白い光を放つそれは、私の誕生石のムーンストーン。それも、特に大好きなブルームーンストーンだ。
「つけてみていい?」
「あ、じゃあ、俺が」
翔ちゃんは、私のあげたマフラーを椅子の上に置くと、私の首にネックレスをつけてくれた。
「ありがとう」
「それなら、仕事中も制服の下に
付けられるかな…と思って」
と優しく微笑む翔ちゃんは、やっぱり私の理想の彼氏だ。
その後、ワインを飲んだ私たちは、タクシーで翔ちゃんの家へと向かう。
サンタさんは来なかったけれど、2人で仲良くクリスマスの夜を過ごせたんだから、幸せに違いない。
………はずだった。
なのに…
私たちは、毎週のようにデートを重ねる。
行き先はその都度違うけれど、毎回、翔ちゃんは私を思いやってデートコースを決めてくれるから、楽しくないわけがない。
だけど……
私が気になるのは、翔ちゃんの服装。
私は、翔ちゃんにもらったネックレスが嬉しくて、仕事中も休みの日も毎日してるのに、翔ちゃんは一度もマフラーをしてくれたことがない。
あんまり上手にできなかったから、恥ずかしいのかな。
そんな風に思って、友達に相談したら、とんでもないことを言われた。
「男の人ってさ、手編みは重いから嫌い
って人いるよ」
そんなの、考えてもみなかった。
男の人って、手作りならなんでも喜んでくれるんだと思ってた。
そっか……
手編みって、重いのか…
残念。
最初のコメントを投稿しよう!