ホワイトデー《翔太郎目線》

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 それからも、毎週のようにデートを重ねる。 だけど、会った瞬間に、一瞬、彼女の顔が曇る。 もちろん、すぐに何事もなかったかのように笑顔に戻るんだけど、がっかりしてるのは、なんとなく分かる。 きっと毎回、俺がマフラーをして現れるのを期待してるんだろうな。 ごめん、期待に応えられなくて。  そうして、2月14日バレンタインになった。 紗良は、お菓子作りが好きだって言ってた。 子供の頃から、バレンタインはいつも手作りだって。 俺は、当然、紗良から手作りチョコが貰えるものだと思い込んでいた。  だけど、紗良がくれたのは、この時期、テレビなんかでもよく取り上げられる有名店のチョコ。 なんで? 時間がなかったのかな? うん、そうだよ。 今年のバレンタインは、平日だし。 俺は、そう思うことにした。  そうして、3月。 俺は、初めての手編みに挑戦してくれた紗良に初めての手作りで応えようと思った。 マフラーをしてやれないお詫びの気持ちも込めて、スマホで動画を見ながら、初めてクッキーを焼いてみた。 オーブンがなくてもレンジでできるってレシピ。 紗良が作るほど美味しくはないかもしれないけど、気持ちだけでも伝わるといいな。
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