6.初めてのデート

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 そう思って、いつの間にか私の側からいなくなっていた柏木さんの姿を探すと、彼はレジで何か購入しているところだった。私の視線に気がつくと、柏木さんは振り返り、 「満足されましたか?」 と尋ねた。 「はい、素敵な作品、しっかり拝見させていただきました」  笑顔で答えた後、ふと、彼が何を買っていたのか気になり、 「柏木さんは、何かお買い物されたんですか?」 と問い掛けた。  私の疑問に、柏木さんは、 「はい。心惹かれるものがあったので」 と短く答え、にっこりと笑った。 「柏木さんって、本当に可愛いものがお好きなんですね」  感心したように言うと、柏木さんは、顎に手をやり、 「好き……そう、僕もきっと可愛いものが好きなのでしょうね」 考え込むように言った。 「……?」  柏木さんの歯切れの悪い言葉を不思議に思い、首を傾げていると、私の様子に気が付いたのか、 「何でもありません。さあ行きましょうか。もうとっくにお昼を回っています。そろそろお腹が空いてきたのではありませんか?」 柏木さんはすぐに笑顔に戻ると、私をエスコートするように、店の扉を開けた。 *
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