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「あの、すみません……」
おずおずと店内に入り声を掛けると、
「こんにちは。こちらへどうぞ」
店員がカウンターの前の椅子を掌で指し示した。
「今日はお部屋をお探しですか?」
そう問われたので、
「あ、えっと、そうではなくて、うさぎを見せてもらおうと……」
私が奥のケージを指さすと、
「ああ!うさぎですか!」
店員は吃驚したように目を見開いた。
「どうぞ、見てください」
店員が腕を伸ばして促したので、
「ありがとうございます」
と礼を言い、うさぎのケージへ近づく。ケージの前に行くと、私は、
(これは……ひどい)
と唖然とした。
ケージの中は、碌に掃除がされていないのか、糞尿でひどく汚れていた。うさぎ用のケージではないのか、スノコもない。小さな茶色のうさぎが、尿でびちゃびちゃになったペットシーツの上に座っていた。
(ペットシーツを直置き……。この子が口にしたらどうするの)
キャベツの葉が無造作に入れられており、餌も適当に済まされているのだと思った。
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