3.猫とトライアングル

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 金色に近い程脱色した髪を無造作にセットし、白いデニムに紺の半袖ニットを着た男子学生の手には、ハンバーガーが握られている。どうやら猫は、それを狙って愛想を振りまいているようだ。 「お前、腹が減ってんの?これ欲しいのか?」  男子学生は猫に懐かれてまんざらでもない様子で、ハンバーガーをちぎった。 「ほら、やるよ」  男子学生が猫の口元にハンバーガーの欠片を差し出そうとしたので、 「だ、ダメです!」 私は慌てて男子学生に駆け寄ると、勢いよく腕を掴んだ。男子学生は、突然掴みかかってきた私に驚き、 「うわっ!君、何、突然!?」 と言って仰け反った。 「猫に人間のご飯は、ダメですっ」  男子学生の手から、ハンバーガーの欠片を取り上げる。 「ハンバーガーには、タマネギも入っていますし、タマネギは猫に毒です!」 「あ……へえ、そうなんだ」  私の勢いに気おされた様子で、男子学生が半ば呆然としつつ答える。 「でも、こいつ腹が減ってるみたいだし」 「では、これをどうぞ」  私は男子学生にハンバーガーの欠片を返すと、トートバッグの中から、ジップ付きのビニール袋を取り出した。ビニール袋の中には、いつも持ち歩いている猫のエサが入っている。 「何これ?」  怪訝な表情を浮かべた男子学生にビニール袋を押し付けると、 「ね、猫用のカリカリです!それでは、失礼しますっ」 私はぺこりと頭を下げ、ぽかんとした表情を浮かべている彼から逃げる様に走り去った。
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