3.猫とトライアングル

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「俺、経営学部の2回生の一色悠馬(いっしきゆうま)って言うんだ。君は?」 「文学部の2回生の弥生美咲……です」 「なんだ、同級生じゃん。よろしく!」  一色君は自己紹介をした後、人好きのする笑顔を浮かべた。 (この人……話しやすそう、かも)  にこにこしている一色君は、裏表のない人のような気がして、少し安心する。 「コンビニでハンバーガーを買った時はあったんだよな。その後、どこで落としたんだか」  歩き出した一色君について行きながら、 「その後、どこかへ寄られたんですか?」 と尋ねてみた。彼の足取りを遡れば、財布も見つかるかもしれない。 「図書館行って、学生会館寄ってサークルに顔出して、講義に出て、あとは西側広場で君に会った後、猫に餌をやってたかな」 意外にあちこちと移動している。でも、 「図書館に行ったのだったら、その時はまだ財布はあったのでは?」 学生証がないと図書館には入れない。 「あ、そっか!じゃあ、落としたのはその後か」  なるほど、と一色君が相槌を打つ。とりあえず、まずは学生会館に戻ってみることにした。その道中も、地面に目を向け、財布が落ちていないか探しながら学生会館に向かう。
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