3.猫とトライアングル

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「あ!弥生さん。どうしたん?さっきの講義出てなかったね」  女子学生がひとり、私の姿に気が付き、こちらへ向かってやって来た。同じ専攻の浜中さんだ。浜中さんは、 「弥生さんが男子といるなんてめずらしいやん」 私と一色君を見て、興味津々という顔をした。 「彼氏?」 「ち、違う!この人が財布を落としたって言うから、一緒に探していたの。それで見つかったから、お汁粉をおごってもらっていて……」  しどろもどろに説明をすると、 「へえ~」 浜中さんは、期待していた答えではなかったことにがっかりしたのか、 「じゃ、私、次の講義あるから」 ひらひらと手を振ると、中央広場を抜けて去って行ってしまった。
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